ヘッドレスCMS(コンテンツ管理システム)は、従来のCMSと異なり、フロントエンドとバックエンドが分離されているシステムです。ヘッドとはフロントエンドのことです。
ヘッドレスCMSは、コンテンツをAPIを通じて配信し、デザインや表示は自由に選べるため、柔軟性が求められる現代のウェブ開発において注目を集めています。
なぜヘッドレスCMSが必要なのか?
従来のCMSは、コンテンツの管理と表示が一体化しており、特定のプラットフォームやデバイスに依存することが多いです。しかし、現在のユーザーはさまざまなデバイスやプラットフォームでコンテンツを消費するため、柔軟なコンテンツ配信が求められています。ヘッドレスCMSは、このニーズに応えるために生まれました。開発者は異なるデバイスやアプリケーションに対して一貫したコンテンツを提供でき、マーケティングチームはコンテンツを迅速に更新し、様々なチャネルに配信することができます。
メリット・デメリット
メリット
- 柔軟性: フロントエンドを自由に選択できるため、最新の技術やデザインに対応可能です。
- スケーラビリティ: APIを通じてコンテンツを配信するため、トラフィックの増加にも強いです。
- 複数チャネル対応: ウェブサイトだけでなく、モバイルアプリやIoTデバイスなど、さまざまなプラットフォームにコンテンツを配信できます。
- 表示速度: 動的処理が少なく済むので、ページの表示速度が速くなる傾向があります。
- 堅牢性: フロントエンドとバックエンドが独立しているため、フロントエンドで変更を行なってもバックエンドに影響がありません。
デメリット
- 初期設定の複雑さ: ヘッドレスCMSは設定や実装が複雑で、特に開発者のスキルが求められます。
- フロントエンドの開発が必要: 独立したバックエンドであるため、フロントエンドを別で構築する必要があります。そのため、フロントエンドを開発する技術者が必要です。
- コスト: 初期投資や開発、運用コストが従来のCMSに比べて高くなる場合があります。
- 追加機能: 問い合わせフォームやレコメンドなど、wordpressであればプラグインをインストールすれば追加できる機能も、外部ツールを使用したりコーディングで自作しなければならないため、時間とコストがかかる。
- APIに関する知識の習得が必要: CMSからフロントでデータを使用するために、APIを使用します。そのため、開発者はAPIに関する知識や扱うスキルが求められます。
主なヘッドレスCMSの種類
- microCMS: 国産のCMSです。スキーマ(データベースの構造)を自由に組み合わせることができ、メディアサイトからECサイト、SaaSサイトまで、幅広くさまざまな種類のWebサイト構築が可能です。
- WordPress(ヘッドレスモード): 世界的に人気のあるCMSですが、APIを利用することでヘッドレスCMSとしても利用できます。
- Contentful: APIファーストのアプローチで、多様なプラットフォームに対応。
- Strapi: オープンソースのヘッドレスCMSで、ユーザーが簡単にカスタマイズ可能。
- Sanity: 高度なカスタマイズ性を持ち、リアルタイムでコンテンツを編集できるCMS。
まとめ
ヘッドレスCMSは、柔軟性やスケーラビリティを求める現代のウェブ開発において非常に有効な選択肢です。しかし、その導入には初期投資や運用コスト、設定の複雑さが伴うため、企業のニーズやリソースに応じた選択が重要です。国産・海外産の様々なヘッドレスCMSが存在するため、目的に応じて最適なものを選ぶことが求められます。